TAVI

ニュース

はじめに

近頃、「疲れやすくなった」「少し動いただけで息切れする」と感じることはありませんか? もしかしたらそれは心臓の弁に異常が起きている大動脈弁狭窄症かもしれません。

心臓の手術は患者様の身体にとって大変な負担となり、状態によっては手術を断念せざるを得ないこともあります。そこで、これまでの外科的手術と比べて患者様の身体的な負担が少ない治療法としてTAVI(経カテーテル大動脈弁留置術)が登場し、2013年10月に日本で保険適用となりました。

ご自身の健康はご家族の幸せに繋がります。
逆にご家族の健康もご自身にとってとても大切なものだと思います。
ご自身だけでなくご家族で少しでも気になる症状がございましたら、まずは一度医師にご相談下さい。

大動脈弁狭窄症とは

大動脈弁狭窄症とは、心臓の左心室と大動脈を隔てている弁(大動脈弁)の動きが悪くなり、全身に血液を送り出しにくくなる状態のことです。大動脈弁狭窄症にさまざまな原因がありますが、近年は加齢や動脈硬化が原因の場合が増えてきています。

大動脈弁狭窄症は軽度なものでは症状が現れにくく、他の病気の検査などで見つかる場合がほとんどです。そのため重症になってから発見されることも多く、狭心症(胸の痛み)、失神、心不全症状(息切れなど)を伴い、大変危険な疾患です。一般的な生命予後は、狭心症が現れると5年、失神が現れると3年、そして心不全の場合は2年といわれており、突然死の危険性を伴います。

大動脈弁狭窄症の進行

大動脈弁狭窄症の治療法

大動脈弁狭窄症に対しては、胸を切開(開胸)して、硬化した弁を人工弁に交換する外科的大動脈弁置換手術が標準治療として長年実施されて来ました。しかしながら、外科的大動脈弁置換手術は、高齢や併存疾患のために、手術による死亡の危険性が高いとされた患者様や、手術後に活動性の低下(寝たきりや認知症の進行など)が予想される患者様には、リスクが高すぎて手術できないことが多く、そのような患者様への新たな治療法が望まれていました。

そこで、近年外科的手術に代わる治療として、TAVI(経カテーテル大動脈弁留置術)が開発されました。TAVI(経カテーテル大動脈弁留置術)とは、開胸することなく、カテーテルを用いて、新たな生体弁(ウシやブタの心膜でできた弁)を植え込む治療法です。

TAVIタビとは(経カテーテル大動脈弁留置術)

TAVIとは、Transcatheter Aortic Valve Implantationの略語で、日本語では「経カテーテル大動脈弁留置術」と訳されます。
TAVR(タバ):Transcatheter Aortic Valve Replacement「経カテーテル大動脈弁置換術」と言われることもあります。

TAVI(タビ)は開閉機能が低下している心臓の弁(大動脈弁)の内側から、カテーテルと呼ばれる医療用の管を用いて人工の弁を植え込む治療法です。これまで手術に耐えられないと判断された高齢の方などにも可能な大動脈弁狭窄症の新しい低侵襲な治療方法となります。
TAVIには、足の付け根からアプローチする方法(経大腿動脈アプローチ)と、左胸(心尖部)からアプローチする方法(経心尖アプローチ)があります。いずれのアプローチも、カテーテル透視装置が配備された手術室で、循環器内科、心臓血管外科、麻酔科がハートチームを組んで、治療に臨みます。治療時間は1時間から2時間程度です。

ハートチーム

TAVI治療は多職種(心臓内科医、心臓外科医、麻酔科医、看護師、放射線技師、臨床工学技士、リハビリ技師)から構成されるハートチームで協力して行います。またハートチームとして一人一人の患者様、ご家族様と真摯に向き合い、最適な治療法を提案させていただきます。

ハートチームとしての経験値

チーム力、技術力を維持・向上させていくためには症例数を多く経験することも重要となります。当院では2016年9月時点において週2例ペースでTAVI治療を行っており、全国で有数の施設となっています。

心臓血管外科教授:柴田利彦

TAVI責任者/心臓血管外科教授柴田 利彦

心臓弁膜症治療はこれまで内科的薬剤治療と外科手術しか治療選択肢がありませんでしたが、カテーテル的治療が新たな選択肢として加わりました。治療には確実な診断と適応判断が必要ですが、どのような選択が各患者様に最も適しているかをハートチームで多角的に検討することが必須です。

低侵襲治療は簡単な治療方法と誤解されますが、高度な知識と技術に裏付けられたものでなければなりません。小切開心臓弁膜症手術(MICS)も導入し、あらゆる低侵襲治療を網羅するように私たちは日々研鑽を積んでいます。
「心臓治療は怖い」という理由で、治療時期を逸してしまうことが少なくありません。皆さんと一緒に最良の方法を考えていきましょう。

循環器内科教授:葭山 稔

循環器内科教授葭山 稔

毎週病棟の回診にて、TAVI治療によって驚く程に元気になられる患者さんを拝見し、素晴らしい治療法であると確信しています。
今後もハートチームで協力してより良い治療が提供出来るように努めていきます。

循環器内科学医員:水谷一輝

循環器内科学医員水谷 一輝

私は当院でTAVI治療が開始となった2016年1月より経大腿動脈アプローチ治療での術者を担当しております。また毎週金曜日にはTAVI術前や術後の患者様を「TAVI外来」にて診察させていただいております。私のミッションは安全に治療を行い、患者様が退院された後も元気に生活していただくことです。

大阪市大ハートチームは皆様に元気に暮らしていただけるよう、最適な治療を提供させて頂くことをお約束致します。

心臓血管外科学 准教授:村上 貴志

心臓血管外科学 准教授村上 貴志

最近まで、大動脈弁狭窄症に対する唯一の治療方法であった外科的な大動脈弁置換術を20年以上にわたって行ってきました。さらに近年は、小さな切開から心臓手術を行うことで、患者さんの負担を軽減してきました(Minimally Invasive Cardiac Surgery: MICS)。外科的な大動脈弁置換術は、すでに20年の成績が確認された、とても良い治療法です。しかしながら、手術を乗り切れないと思われ、治療の機会を得られなかった患者さんにも、経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)は福音をもたらしています。

当院では、両方の治療の利点を生かして、各々の患者さんに一番良い治療を提供出来る体制となっています。また、内科と外科が協力して治療に当たることにより、安全な医療を提供しています。

麻酔科学 准教授:山田 徳洪

麻酔科学 准教授山田 徳洪

ハートチームでの麻酔科医は手術中に生体に加わる様々なストレスから患者さまを守り、手術終了まで安全にナビゲートする役割を担っております。具体的には、TAVIにおきまして刻々と変化する循環動態に対応できるように各種モニタリングを駆使して、安定した全身状態の維持に専心しております。更に、術後のQOLを改善するために、術後の疼痛や嘔気・嘔吐の軽減にも配慮した麻酔管理を実践しております。

手術室看護師:原田えみ

手術室看護師原田えみ

手術室では、患者様の安全を第一に考え、安心して手術が受けられるようサポートしています。患者様の身の回りのことはもちろん、手術室内の環境から手術に必要な器械の準備なども行ない、また緊急時の手術に対応出来るよう、常に手術室の体制を整えています。チーム医療は連携が重要になります。手術室看護師もハートチームの一員として参加し、手術が安全かつスムーズに行えるよう日々努力しています。

放射線技師:高尾 由範

放射線技師高尾 由範

TAVIでは画像情報がkeyとなります.私たち診療放射線技師は,手術前のさまざまな検査でTAVIを安全に行うための画像情報をチームに提供します。さらに手術中には、大型の装置を操作して手術を支援するための画像情報を迅速に提供します。これらの画像情報を精度よく導くためには検査時の呼吸停止や体動抑制が大切ですので、より良い検査のためにご協力ください。また,放射線や検査での不安がございましたら遠慮なくお問い合わせください。TAVI後の笑顔に向けて共に頑張りましょう。

臨床工学技士:定 亮志

臨床工学技士定 亮志

臨床工学技士はハートチームの一員としてTAVIがより安全に行えるよう尽力しています。その中で臨床工学技士は3つの役割を担っています。

  • 円滑な手術進行のための周辺機器の整備
  • 弁を留置する時に必要な体外式ペースメーカの操作
  • 血圧低下などの循環不全に陥った際の体外補助循環への対応

TAVIは体外循環を用いないことが患者様のメリットの一つですが、どうしても必要となる場合があります。我々はあらゆる場面で迅速に対応できる体外循環システムを構築し、安全なTAVI治療が行われるように努力しています。

リハビリ技師:清水 将史

リハビリ技師清水 将史

大動脈弁狭窄症は徐々に進行し、心臓のみでなく全身の筋力や体力の低下を引き起こします。そのため、TAVIにて心臓の治療を行うことに加え、弱った身体を元に戻していくことも重要です。我々リハビリテーションスタッフは、主に運動を通じてそれらのお手伝いをさせて頂きます。

手術前は身体の状態を確認し、手術後はできるだけ早く退院できる様に、歩行や自転車漕ぎなどで積極的に身体を動かします。そして退院前には、ご自宅で安全に身体を動かすことができる様に、日常生活の工夫や運動のコツを説明します。より良い生活を取り戻す為に一緒に頑張りましょう。

心臓血管外科病棟:中 麻里子

心臓血管外科病棟中 麻里子

大動脈弁狭窄症に対して行われるTAVIは、従来の方法に比べ、手術後の痛みも少なく、患者さんの回復が早いことを実感しています。日本人の平均寿命が延び、当科にもご高齢の患者さんが多く入院されますが、そのような方々が術後まもなく歩行訓練をされたり、自分でお食事をされたりしている姿を見ることは、私たち看護師にとっても大きな励みになっています。手術後の一日も早い日常生活への復帰を目指し、私たち看護師も精一杯お手伝いさせていただきます。いっしょにがんばりましょう。

アクセスに便利な立地

大阪市立大学医学部附属病院は南大阪の窓口である天王寺駅に近接しています。
大阪市内だけでなく、東大阪、南大阪、奈良県、和歌山県からもアクセスしやすい立地です。遠方からの受け入れも積極的に対応しますのでお気軽にお問い合わせください。

アクセスマップ
〒545-8586 大阪市阿倍野区旭町1-5-7
Tel:06-6645-2877

GoogleMapで見る

公共交通機関でお越しの方

沿線経路図
大阪市営地下鉄「天王寺駅」御堂筋線
西改札を出て13番、14番出口方面へ(徒歩 約7分)
大阪市営地下鉄「天王寺駅」谷町線
南西・南東改札を出て直進し、階段を上り右、13番、14番出口方面へ(徒歩 約9分)
大阪市営地下鉄「動物園前駅」御堂筋線・堺筋線
東改札を出て右、2番出口方面へ(徒歩 約8分)
JR西日本「天王寺駅」大阪環状線・大和路線・阪和線・関西空港線・きのくに線
中央改札口を出て左へ(徒歩 約9分)
近畿日本鉄道「大阪阿部野橋駅」南大阪線
西改札を出て右へ
阪堺電気軌道「天王寺駅前」上町線
改札を出て地下道もしくは歩道橋へ
大阪市営バス「市大病院前」
下車すぐです

お車でお越しの方

駐車場は台数に限りがあり、大変混雑します。なるべく公共交通機関をご利用ください。
※お車で来院される方は、病院地下駐車場をご利用ください。
営業時間:(入出庫は、営業時間内にお願いします。)
駐車可能台数:270台

  時間 料金 備考
普通料金 1時間毎 300円 5時間以上の駐車は、自動的に上限料金になります。
まで 上限 1,500円
まで 上限 1,500円
一日利用券 から翌日のまで。
(の間、入・出庫可能)
3,000円 ご希望のお客様は、営業時間内()に、駐車場管理室までお越しください。

TAVI治療の流れ

大阪市立大学医学部附属病院を受診

かかりつけの病院、クリニックより当院へご紹介をいただいてください。大動脈弁狭窄症については金曜午後の循環器内科 水谷一輝医師の外来にて診察致します。外来では問診、血液検査、胸部レントゲン、心電図、心臓超音波検査を行います。
医療機関からの当院の診察予約については下記の「患者様の紹介について」を参照ください。

患者様の紹介について

検査入院

TAVI治療を含めた治療方法検討のために外来で行えない検査を入院した上で実施します。入院期間は4〜5日間で心臓CT検査、心臓カテーテル検査、MRI検査などを行います。入院中に担当医師よりTAVI治療についての説明を行います。状態が安定されている方は一旦退院した上で、その後改めて治療入院して頂くことが一般的ですが、病状が不安定な方や遠方にお住まいの方は治療を同入院中に施行することも可能です。

ハートチームカンファレンス

大阪市大ハートチームのメンバーで検査結果を踏まえてご本人の状態や病状、ご希望も加味した上で治療法(TAVI治療、外科的置換術、保存的加療)を検討していきます。

TAVI入院

TAVI治療の3~4日前に入院となります。入院の準備・注意点などについては大阪市立大学医学部附属病院における入院についてのページを参照してください。

入院について

TAVI治療

ハイブリッド手術室にて全身麻酔または局所麻酔下でTAVIを行います。ハートチームメンバーで治療にあたり、治療が終わりましたら集中治療室に帰室となります。

術後ケア

手術当日に食事を再開、翌日からは歩行の上で退院に向けてリハビリを開始します。リハビリ技師、看護師が中心となってケアを行います。

退院

手術後1週間以内の退院を目指します。

外来フォロー

退院後の投薬を含め日常診療はかかりつけの先生にお願いすることが多いですが、定期的に金曜午後のTAVI外来に通院をしていただき、責任を持ってフォローをさせて頂きます。

退院後の注意点について

処方されたお薬(抗血栓薬など)は必ず飲んでください。治療後の活動の制限は特に設けないことが一般的です。またTAVI治療、外科的弁置換術を施行された患者様は、歯科受診の際に人工弁治療を受けている旨を歯科にてお伝えください。歯科処置の前に抗菌薬の内服が必要となります。

Q&A

TAVIの治療費は?

治療には健康保険、高額療養費制度が適応されます。費用は年齢や所得によって異なりますが、おおよそ5万~20万円です。
例:TAVI治療入院(約7日〜14日)の場合(高額療養費制度を利用)
70歳未満:約14万円、70歳以上:約4万5000円
※部屋代、食事代は別途必要です。上記はあくまで概算です。

希望すればTAVIを受けることが出来ますか?

TAVIは2016年9月現在では高齢で体力が低下している患者様、その他の病気を持つ患者様が対象の治療法です。またTAVI治療自体は新しい治療法で歴史が浅いため、60歳~70歳台前半のお元気な患者様には外科的置換術が第一選択となります。

TAVIが受けられないことはありますか?

透析を受けている患者様、以前に大動脈弁置換術を受けられていて、その人工弁が機能不全となった患者様には2016年9月の時点では行えません。また、同時に患っている他の病気の状態が悪い方やTAVIをしても効果が乏しいとハートチームで判断された場合には行えないことがあります。

どんな合併症が起こりえますか?

大きな合併症は死亡、心筋梗塞、脳卒中、弁輪破裂、左心室破裂、カテーテル弁の移動、急性大動脈弁閉鎖不全症(結果として急性心不全)、血管損傷(動脈解離、破裂)、房室ブロック(永久ペースメーカー)などがあります。これらの事態には迅速で対応する必要があり、場合によっては緊急で開胸術や開腹術(血管損傷の場合)に移行しなくてはならない場合もあります。この治療が誕生した当初は合併症の率が高かったですが、デバイスの改良、経験の蓄積により、年々成績が改善しています。詳しい内容については、当院での治療前にお渡ししている説明・同意書を参照ください。

治療後にMRI検査は可能ですか?

特に問題なく施行可能です。

退院後はどのくらい通院が必要ですか?

退院してから1ヶ月後、3ヶ月後、半年後、1年後に通院していただき心エコーなどのフォローをさせていただきます。
また1年経過してからも数ヶ月に1度のペースで当院外来でフォローさせていただきます。通常のお薬の処方などはかかりつけの先生にお願いしておりますので、かかりつけ医院と当院にて協力しながらフォローさせていただきます。

紹介状の貰い方について教えて下さい

TAVI外来受診前にかかりつけの医院にて、紹介状を記載していただく必要があります。その上で当院の地域連携室を介して、TAVI外来(毎週金曜13:00~)の予約を取得していただきます。

お申し込み・お問い合わせ

申し込み・お問い合わせ

外来受付予約窓口

06-6645-2877
電話をかける
06-6646-6215

金曜午後のTAVI治療相談予約の旨をお伝え下さい。